当記事は、金原ひとみ著『ナチュラルボーンチキン』の書評です。
究極のルーティン中年女性、浜野文乃(はまのあやの)が、同じ職場の破天荒な若者、平木直理(ひらきなおり)が出会い日々のルーティンを脱していく。
私もそうだが、会社員になると日々の日常がどうしてもルーティン化してしまう。そんな日々に光を注したい時にぴったりの作品です。
この本が、あなたのとっておきの本になります様に。
目次
・『ナチュラルボーンチキン』とは
・『ナチュラルボーンチキン』感想、レビュー
・『ナチュラルボーンチキン』の著者について
・『ナチュラルボーンチキン』感想、まとめ
『ナチュラルボーンチキン』とは?
『ナチュラルボーンチキン』は、2024年10月に河出書房新社より出版された金原ひとみの小説。
会社と家との往復で良いと思っている45歳バツイチ中年女性を描いたエンタメ小説。
新しい世界を見せてくれ――。ルーティンを愛する45歳事務職×ホスクラ通いの20代パリピ編集者。同じ職場の真逆のタイプの女から導かれて出会ったのは、忘れかけていた本当の私。
「この物語は、中年版『君たちはどう生きるか』です。」――金原ひとみ
仕事と動画とご飯というルーティン。
それが私で、私の生活だ。自分には何もない。(本文より)
毎日同じ時間に出勤退勤し、同じようなご飯とサブスク動画を詰め込む「ルーティン人生」を送る、45歳一人暮らしの「兼松書房」労務課勤務・浜野文乃(はまのあやの)。ある日、上司の指示で、「捻挫で三週間の在宅勤務」を続ける編集者・平木直理(ひらきなおり)の自宅へ行くと、そこにはホストクラブの高額レシートの束や、シャンパングラスと生ハム、そして仕事用のiPadが転がっていて――。
Amazonオーディブルで大反響!
「登場人物全員が愛おしい」「今の自分に必要な作品」「最後は感涙」…etc.
慣れきった日常に光を与える、爽快ミラクル・ストーリー!河出書房出版より引用
『ナチュラルボーンチキン』感想、レビュー
主人公である浜野文乃に感情移入できる人は、沢山いると思う。
会社員の私も、毎日がルーティン化してしまっているなと感じる事があるし、それで良いと思っている自分もいる。しかし、本当はそのルーティンを壊す何かを欲している自分もいる。そういう人は多いと思う。
自分の楽しいとは、何かを考え直すきっかけにもなりました。
3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。
POINT1 平木直理にハマっていく
声を出して笑える本に出会えるのは、とても良い時間だと思います。
ホスト狂いで、スケボーで出勤してる途中に転んで骨折してしまう。そんな破天荒な若者『平木直理』ひらきなおり…開き直り!!!名前が開き直り!元々両親が離婚する前は、『中直理』で、なかなおり…仲直りなんです。というのが鉄板の挨拶だそう。この子の紹介や話してる時に、何回も笑わせてもらいました。
私にはない感性だし、楽しい事には目がなく、兎に角行動力がスゴイ!こんな人が近くに居たら楽しいで埋め尽くされるんだろうなーと思って読んでいました。
POINT2 浜野文乃に感情移入できる
浜野は毎日がルーティン化しているので、風邪などで病院に行った時すらイベントになる。
わかる!最近インフルエンザに罹り、体調は本当にしんどいが、若干ワクワクしている自分がいました。5日間は会社に行かなくても良いし、自分の部屋に閉じこもって好きなだけ本を読める!そんなことを思って非日常を楽しんでいました。
浜野文乃は、自分にとって何が楽しいのか分からなくてなっていました。
私もコロナ禍で、仕事が無くなり、遊ぶ事も出来ず、何が楽しくて何の為に生きてるんだ?と思う時がありました。明日起きて何をすれば良いんだ?と思う日々がありました。今では、小説という最高の娯楽と出会う事が出来、起きてから寝るまで時間さえあれば本を読んでいます。
誰にでも訪れる瞬間だと思います。特に中年になってくると昔の様に純粋に楽しむことが出来なくなってくる人も多いかと思います。私は幸運な事に小説と出会い、純粋に楽しむことができる事に出会えました。この本を読んで1人でも多くの人が何かを楽しむキッカケになれたなら良いなと思います。
POINT3 言語化の精度が高い
小説は言葉を紡いでいくモノであり、言語化の精度が高いと吸い寄せられます。(私自身は相当低く、これからどんどん高めていきたい!)
老害という言葉は差別語になるのか?という話になった時に
『老害というのは一般的な老人に対して使われる言葉ではなく、あいつ公害だよな、と言われるような迷惑な人、またはその害自体を細分化した言葉なので、差別語にはならないんじゃないか。ネットスラングで糖質という言葉があるが、統合失調症という病名から派生した言葉なので完全にアウト。老害が認知害など実際にある認知症という病名から派生した名称だったら完全にアウトです。』
素晴らしい。完璧なる言語化。最高に気持ち良い文章を読ませてもらいました。しかもこれを発言したのは平木直理。破天荒ではあるが、知性も持ち合わせているとは。魅力の底が見えない。
『ナチュラルボーンチキン』の著者について
**金原ひとみ(1983年生まれ)**は、日本の小説家。若者の孤独、身体、家族、依存、アイデンティティといったテーマを、鋭く生々しい感性で描き出す作風で知られている。
2003年、「蛇にピアス」で第27回すばる文学賞を受賞し、翌2004年、同作で第130回芥川賞を史上3番目の若さで受賞。一躍注目作家となる。
『ナチュラルボーンチキン』感想、まとめ
この小説は、毎日のルーティン化を少し変えてみたい!変える勇気が欲しい!そんな時にぴったりです。
1人でも多くの人が何かを楽しむキッカケになれたなら良いなと思います。
是非手に取ってみて下さい。

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