当記事は瀬尾まいこ著『あと少し、もう少し』の書評です。
今回紹介する小説は、中学生が県大会をかけた駅伝大会に挑戦する話です。
一つの襷を繋ぐ6人。その瞬間にしか味わえない熱い気持ち、怒り、涙。胸が熱くなる瞬間が何度も訪れます。
この本が、誰かのとっておきになります様に。
目次
- 『あと少し、もう少し』とは
- 『あと少し、もう少し』レビュー、感想
- 『あと少し、もう少し』著者について
- 『あと少し、もう少し』感想、まとめ
『あと少し、もう少し』とは
『あと少し、もう少し』は、2015年新潮社より出版された瀬尾まいこの。青春小説。
陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。
新潮社HPより引用
寄せ集めのメンバー6人で走る中学最後の駅伝大会。
1区から6区まで1人3km走って襷を繋ぐ。
1人1人が秘めている感情、思いを1区から順に描かれていきます。
寄せ集めなので、兎に角問題が多いです。それには1人1人中学生ならではの、まだ完成していない情緒や心情があります。
それを乗り越え、走る姿は。涙無しでは見れません。電車などでは見ないことをお勧めします。
『あと少し、もう少し』レビュー、感想
中学最後の大会で負けた時に泣いたことを思い出しました。
社会人になるとここで負けたらもう終わりだ。というシーンが殆どありませんよね。
まだ、終わりたくない!まだこのメンバーで走っていたい!そんな瞬間は人生に於いて少ない瞬間だと思います。
中学や高校でしか味わえない、まだ終わりにしたくないという感覚を感じたい時に読んで欲しい小説です。
3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。
POINT1 誰かを応援出来る
1区毎に1人の少年にスポットライトを当て、話が進んでいくので必ず『この子好き!』『この子昔の自分に重なる』という子が出てきます。そうなったら応援せざるにはえません。私は2区を走った不良の太田君の話で涙を堪える事が出来ませんでした。良きメンバー、良き指導者に巡り会えて本当に良かった。
POINT2 誰にでも強さと弱さがある
人間誰にでも強さと弱さがあります。いつも強がっている不良の太田やプライドの高い渡部も、実は内面では弱さを抱え込んでいます。元いじめられっ子の設楽にはとても強い気持ちがあります。自分の強さ弱さを考え直す良い機会になりました。皆さんもこの小説を読み、自分と向き合ってみましょう。
POINT3 勝つことよりも大事なことがある
それを教えてくれたのは、頼りない美術教師の上原でした。私のように運動部で勝ち負けにこだわってきた人間には出来ないことを、上原はやってのけました。もし部長の桝井の決めた判断で走ったいたらみんな悔いが残っていたと思います。勝ち負けにこだわってこなかった上原だからこその決断が、皆の快走をよびました。色々な意見があるからこそ、人は成長できるのだと再確認することができました。
『あと少し、もう少し』著者について
『卵の緒』(2002年)で作家デビューし、2011年に退職するまで、中学校教諭の傍ら執筆。厳しい現実を描くこともあるが温かみ溢れる作風で好評を得る。作品に『幸福な食卓』(2004年)、『戸村飯店青春100連発』(2008年)、『君が夏を走らせる』(2017年)など、『そして、バトンは渡された』など。
『あと少し、もう少し』感想、まとめ
今回は『あと少し、もう少し』を紹介しました。
胸が熱くりたい時。そんな時にぴったりの作品です。
ぜひ、手に取ってみてください。

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